私はタコ焼きが好きだ。数年間大阪府東大阪市に住んでいた時期があり、そこは下町かつ学生街なだけあって、色んなタコ焼き屋がその辺にたくさんあった。こっちにはあまりタコ焼き屋は多くないが、美味しい店を見つけたので書いていく。
『たこ八 岡山タカシマヤ店』
岡山にお出かけした時に訪れた。高島屋の地下にある、カウンター型の品の良い店だ。
メニューではタコ焼きと表示されているが、タコ焼きと明石焼きを足して2で割ったような作りである。ふわふわした食感で、出汁の効いた柔らかい味をしている。このタコ焼きを、右の温かい出汁に付けて食べると、とても美味しい。さっぱりとして後味が良い。ソースとマヨネーズも置いてあるため、普通にそっちで食べても良い。
兵庫明石市の明石焼きは「玉子焼き」といわれる郷土料理だ。主な特徴として「とても柔らかい」「卵の風味が強い」「出汁にひたして食べる」が挙げられる。
専用の鍋で焼かれた直径5cm程度の楕円体であり、見た目はたこ焼きに似ている。江戸時代の終わり頃から食べられており、たこ焼きのルーツのひとつであるといわれている。
いわゆる大阪のたこ焼きと異なる点は、
- 鶏卵をたっぷりと使うため色味が黄色い。また、短時間で焼き上げ表面を焦がすことはない。
- 小麦粉以外に浮粉と呼ばれる小麦でんぷんの粉を使うので、生地が非常にやわらかい。
- 焼き鍋が熱伝導が良い銅製である。鍋のくぼみはたこ焼き用よりも浅く、球形にはならない。
- 玉子焼を裏返すのに銅製の焼き鍋を傷つけないよう、金属製の道具を用いず菜箸を使う。
- 具が基本的にタコのみである。
- 昆布や鰹節などで取った出汁に浸して食べる。
- 店舗によって材料が異なり、小麦粉または浮粉を全く配合しない店舗もあるため、店舗ごとに味や柔らかさが変わる。
店によっては、タコ以外にこれも明石名産の穴子を具として入れているところもある。
小さなまな板状の木製の板に盛り付けられ、箸を使って添えて出される出汁に浸けて食べる。
『多幸千』
同じく岡山にあるお店で、屋根のある通りの中にある。そこそこ美味しいスタンダードな味だった。ただ値段が割と安く、冷たいお茶を出してくれた親切な対応を思い出す。店の前に小さなテーブルと椅子があるのでそこで食べた。たこ焼きを食べていると、喉が渇いたり別の味でリフレッシュしたくなる気分になるので、お茶はとてもありがたい。今思えば、長時間歩き回るんだから冬とはいえ水筒を持っていっても良かったと思うけど。
たこ焼き かくれんぼ
最後に福山市のお店。ここはかなり美味しい良い店だ。
こっちに来て以来、「大阪で食べたようなタコ焼きをもう一度食べたいなぁ」と思うことがそこそこあった。その不満を解消してくれたのがこの店だ。外も中もしっとりしていて食べ応えがあり、大阪で食べたものと似ている。しかも中に入っているタコがかなり大きい。接客もとても良かった。これからタコ焼きを食べたいと思ったらここへ行くことにする。
銀だこについて
私は『築地 銀だこ』に対して懐疑的だ。
まず外側が固くて油っぽくて明らかに美味しくない。大阪では外側がしっとりしたものが多かったのに。提供時間を短縮するために油を多く使うという理由は理解できるが、何故あれが人気なのか分からない。選択肢の少なさだろうか?他の地方でも銀だこ以外の店くらいあると思うが。
それに加えて、値段がやたらと強気である。大阪の下町でやっているような温かみが無く、商売っ気が強すぎる印象があり、いけ好かない。
と、ここまで散々こきおろしたが、食べたのは相当前なのでどこで食べたかよく覚えていない。しかし味を確かめるために食べに行った瞬間、敗北が確定する。そんな手間と金があるなら、美味しいのが確定している『かくれんぼ』をもう一度訪れる方が良い。